やっと、こんな記事が出てきた。

→読売新聞・脱線電車と同じ製造時異なる車両連結、ブレーキ異常?
ボーリングやら、ゴルフやら、宴会やら、事故とは関係ないバッシングで叩いたり
事故原因も、運転手の過失とか、余裕のないダイヤとか、「日勤教育」とか
尼崎の事故って、そういう側面からしか語られてこなかったような気がする。


そもそも、事故前に3回もオーバーランっておかしいもの。
あのカーブに高速で突っ込んで行った原因も、
ブレーキや制御系統の異常を疑うのが普通じゃないでしょうか?


そもそも、反原発上がりの評論家がテレビで「ステンレス車両は危険」なんて騒いだり
現場に献花に訪れた自称「鉄道車両製造工場の職員」が
「今の鉄道車両は、鉄道事業者から『価格半分、寿命半分』を要求される」
と「内部告発」したりと、現在の車両コンセプトに対するバッシングが激しいですが、
どうも「価格半分、寿命半分」という言葉がネガティブに伝わっている。
「価格半分、寿命半分」とは、JR東日本が新型車両を開発するに当たり掲げたものだが、
私が天漢日乗さんにコメントを書き込んで取り上げて頂いた
のりものランド

にあるように、IT技術などによるメンテナンス・フリー化や軽量化、
民鉄を巻き込んだ規格統一による量産効果やコストダウンが主眼であり、
決して安かろう・悪かろうなものではない。
最近全て入れ替わった山手線の電車の銘板を見れば分かると思うが、
JR東日本は、自社で新型車両を製造する工場を建てるほど、
新技術による低コスト車両導入に力を入れていて、
大量投入することにより、国鉄時代に作られた古い車両を置き換えるだけでなく、
民鉄(相模鉄道)に納入するまでになっている。


#無論、自社工場だけでは能力が足らないので、東急車輛川崎重工でも製造している。
川崎重工は神戸に工場があるので、前出の発言は、その関係者の可能性が高い。


大体、鉄道車両が横転してマンションに突っ込む
という事自体が想定外の話
なわけで。
鋼鉄製の国鉄型電車が、あのようなサイドインパクト・クラッシュを起こしたら
あのようにひしゃげるか、マンションが崩壊するほどの衝撃があったかもしれない。


新型ATS(ATS-P)を導入すればあの事故は防げた、という報道も多かった。
確かに、JR東日本では東京100km圏内では殆どの線区で導入されている。
JR西日本でも導入工事を進めていて、事故を起こしていなくても
福知山線JR宝塚線)でも今月には導入される予定だったとか。
しかし、鉄道解析ごっこ(オルゴールが鳴るので注意)というサイトに拠れば、
東海道山陽線(JR京都・神戸線)のATS-P「拠点P」という手抜き設置なんだとか。
JR西日本としては、旧型ATS(ATS−SW)と共存できるし、
特急電車などにATS-Pの装置を積む必要もないという姿勢なのだが、
JR東日本では、首都圏を走るほぼ全ての車両にATS-Pを積んでいるのですが。
旧式のATCを切り替える際に、山手線と京浜東北線はデジタルATCを導入するが、
埼京線湘南新宿ラインが走る山手貨物線や、
総武快速横須賀線の東京駅周辺の地下区間
のようなところは、ATS-Pに切り替えるという事もやっている。
この、東西のJRの姿勢の違いって何なのだろうか?


冒頭の読売の記事に戻るが、これを読んで思い出したのが
今年2月に起こった都営地下鉄新宿線のブレーキ故障のトラブル。
都営地下鉄新宿線では、ATCの切り替えを機に
JR東日本の新型電車をベースにした車両を
導入する事になっているのだが、問題の故障はその新車で起きた。
しかし、新車は先頭についている2両だけで、
他の車両は既存の車両を繋げたものだった。
全て新製される編成もあるが、一部の編成は
このような先頭だけ新製というスタイルになる。
製造時期が違う車両を混ぜこぜにして走らせるには、
新車と既存車両とのインターフェースに十分注意しなければならない。
それが不十分なままに、混成編成が営業投入されて故障を起こした。


手元にある「鉄道ジャーナル」2005年7月号に拠れば、事故を起こした編成は
尼崎方向前4両が先に製造された「0番代」、後3両が「1000番代」で
ここのサイトにあるように、VVVFインバーター制御のシステムが全く違う。
#更に製造が進むと「2000番台」というまた別のインバーターを使った電車が
#投入されている。参考サイトはここ
「0番代」と「1000番代」を混結すると、双方の制動状況に微妙なバラつきが生じて、
ブレーキの利き具合にバラつきが生じるとのことだが、
それがオーバーランを繰り返したり、あのカーブにハイスピードで突入した原因なのか。


国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調査結果が待たれる。

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